「夢野久作と杉山三代研究会」会報(第8号)が発行されました(2021年12月)




昨年(2020年)3月に予定していた第8回研究大会はコロナ感染の拡大のために中止・延期せざるを得ませんでしたが、今回はコロナ感染第3波の中ながら「オンライン」により全国どこからでも視聴できることになりました。詳細は次の通りです。


今回の研究会では、上田先生や志満先生のように杉山龍丸さんと直接接したことのある方々の話は参考なりました。子息の杉山満丸さんから龍丸さんの話をお聞きしていたものの、基本的に私は紙(資料や本)からしか分からないのですが、龍丸さんの九大関係者やYMCAやペシャワール会(中村哲さんを支援した)、そしてそこに集う若者達と龍丸さんとの交流など、龍丸さんの生き生きとした姿を知ることが出来ました。本当に貴重なお話をお聞きし、福田博士の憂いたようにその当時、「世界の砂漠緑化に対する(国と)龍丸さんとの間のギャップの大きさ」を再認識させられました。
今回はインド大使館や領事館からも研究会に出席いただきましたが、これからインド人研究者により龍丸さんが為した事業に関するインド側の史資料の発掘につなげて行けたら幸いです。

第8回「夢野久作と杉山三代研究会」について上田高校65期ホームページ(リンク)に投稿しました。

インド大使館シッダルト・シン博士のビデオ・メッセージ          リモートで研究発表する宮原の画像


第8回「夢野久作と杉山三代研究会」(コロナ禍の影響により中止・延期)

「夢野久作と杉山三代研究会」第8回研究大会開催要領 2020 年 2 月 13 日

 

主 催: 「夢野久作と杉山三代研究会」 (公益財団法人)筑紫野市文化振興財団 筑紫野市文化会館

開催月日: 2020年(令和2年)3月14日(土)

開催会場: 筑紫野市生涯学習センター・視聴覚室(福岡県筑紫野市二日市南 1-9-3) ※研究会総会の会場は同センター3F・学習室5

日 程: 10:30~11:20 研究会総会

 議題/2019 年事業報告、副会長人事の件など

―――休み(40 分)―――

12:00~12:15 開会式(会長挨拶、来賓挨拶)

12:15~13:45 基調講演/上田 将氏(文化人類学者) 「杉山龍丸氏を想う」

―――休み(10 分)――

13:55~14:20 報 告/志満秀武氏(元 YMCA 主事) 「アフガンに散った中村哲氏と杉山龍丸氏」(仮題)

14:25~15:05 研究発表:宮原 豊氏(前日印協会事務局長) 「杉山龍丸と東大・福田仁志名誉教授との交流」

―――休み(5 分)―――

15:10~15:55 講 演:重松知美氏(北九州市立美術館学芸員) 「画家・青柳喜兵衛と夢野久作 挿絵からのアプローチ」

16:00~16:40 研究発表:谷美映子(大学院生) 「夢野久作に見る女性表象のつながり ―『豚吉とヒヨロ子』と『火星の女』から」

―――休み(10 分)―――

16:50~ TV 番組「緑の父 杉山龍丸の軌跡」(KBC 製作)上映 ――――――

18:00~20:00 懇親会(会場は大会会場近くを予定) 


20191228

8回研究会の研究発表(提案):「杉山龍丸と東京大学福田仁志名誉教授との交流」

日印協会前事務局長 宮原 豊

 

 杉山龍丸は1970年代中頃から、インドでの砂漠緑化の成功事例をもって、砂漠化に苦しむ世界中の人々を砂漠緑化により飢餓から救いたいと、アジア・アフリカ等の国々や国際機関に訴え始めた。九州大学・杉山文庫所蔵の書簡コピーを見ると、国別ではエジプト、UAE、クウェート、サウジアラビア、パキスタン、フィリピン、英国、メキシコ、ブラジル、中国、オーストラリア等の政府関係者や、国際機関等としては国際連合(UN)ワルドハイム事務総長、国連環境計画UNEP、ローマ法王庁、ローマクラブ等のトップとの往復文書が残されていて、龍丸がインドで実践した砂漠緑化の手法が、インド以外でも広く実践されることが期待された。

そのために龍丸はインドに国際砂漠緑化技術訓練センターを設立することを日本政府やインド政府あるいは国際機関にも働きかけた。1972年にナイロビを本部として設立された国連環境計画(UNEP)は、1977829日~917日にナイロビで世界砂漠会議を開催したが、この会議に日本代表団々長として参加した東大名誉教授福田仁志博士は、杉山龍丸が過去15年間インドで具体的に実践してきた砂漠緑化の方法を高く評価し、それをその会議で発表した。龍丸の提唱する構想は内外に支持され、実現の方向に向かうものと期待され、1984年オーストラリア・アデレードで開催された第2回世界砂漠会議に龍丸は招請された。

ちょうど1年前の19769月に福田は福岡に龍丸を訪ねる。1906年生まれ、龍丸より13歳年長の福田は1955年に49歳で東京大学農学部教授に就任、農業水利学講座を担当し、「測量講義―学習・実地」(1953年)、「灌漑分水論」(1962年)、「世界の灌漑~比較農業水利論」(1974年)、「アジアの灌漑農業:その歴史と論理」(1976年)を著し、海外事情にも明るいため1962年には国際灌漑排水会議(ICID)副会長に就いていた。その福田がわざわざ龍丸を訪ね、龍丸のインドでの砂漠緑化のことを尋ねてきたのであった。

76年に始まった杉山龍丸と福田名誉教授との文通は、842月までの約8年の間に合計54通記録されている。龍丸から福田に28通、福田から龍丸に26通が残されている。76年はモラルジー・デサイが第6代インド首相に就任する前年であるが、龍丸の世界砂漠緑化技術訓練センター構想がデサイ首相の下でインドに設立される方向に動いていた時も、またインド政変により龍丸の夢が頓挫していた時も、福田は龍丸の実践してきたインドの砂漠緑化を高く評価し、龍丸のよき相談相手として、「実践家の龍丸」を「アカデミア(学者)の福田」が精神的に支援し、龍丸は取り巻く環境の厳しさにも拘わらず、勇気をもって自分の夢に向かって邁進する姿が読み取れる。

以上のように、杉山龍丸と福田仁志東大名誉教授との関係は極めて緊密であり、これを読み解くことから当時の生々しい様子を知ることができるのではないかと考える。(了)


第9回「夢野久作と杉山三代研究会」が開催されました。

 

会員各位

めっきり春めいてきましたが、お元気でお過ごしのことと存じます
さて、当研究会の第9回研究大会は3月12日(土)、筑紫野市文化会館の多目的ホール
で無事、開催いたしました。
コロナ禍の厳しい環境の中、参加者は20人余でしたが、ズームでリアル配信し、発表
者の中にも関東からズームを使って参加するなど、
初めての試みにも挑戦。なんとか実施することが出来ました。
大会の様子は筑紫野市文化会館のFacebookで紹介しておりますので、ご参照ください
(会館ホームページからアクセス)。
なお、大会の研究成果は、会報『民ヲ親ニス』第9号としてまとめてお届けしますの
で、しばしお待ちください。
「夢野久作と杉山三代研究会」事務局長  手島 博 (3月14日)

※ZOOM配信で大会をご覧いただいた方、感想等いただけると幸いです。

=========================================
公益財団法人筑紫野市文化振興財団
(筑紫野市文化会館)
夢野久作と杉山三代研究会 担当/萩尾
http://chikushinoshi-bunka.fukuoka.jp/
〒818-0041 筑紫野市上古賀一丁目5番1号
TEL 092-925-4321 FAX 092-925-4322
=========================================

 

第9回研究大会・タイムスケジュール 

3月12日(土)12:30~17:40 

 於:筑紫野市文化会館 多目的ホール 

12:00~ ズーム配信スタート〈ズーム画面に案内テロップ〉    

12:30~(10分間)  

❖開 会 式  

開会の言葉 司会/手島 博・研究会事務局長 

開会挨拶 竹田 仰・研究会会長  

司会/今後の展開案内  

  

12:40~14:40(2時間)  

 ❖基調講演「文豪・夢野久作を歩く」 杉山 満丸氏(館内別室からズーム配信)    

―― 休み(10 分)――  

  

14:50~15:35(45分)  

 ❖研究発表「後藤新平宛杉山茂丸書翰について」 馬場 宏恵氏(東京からズーム送信)    

―― 休み(5 分)――  

  

15:40~16:25(45分)  

 ❖研究発表「夢野久作と能」 加我 元子氏(会場で発表)    

―― 休み(10 分)――  

  

16:35~17:05(30分)  

 ❖報 告「国書刊行会の夢野久作全集編纂に関わって」  

沢田 安史氏(横浜からズーム送信)  

  

―― 休み(5 分)――  

  

17:10~17:40(30分)  

 ❖報 告「夢Qが見上げた満月(ぱんぱんしゃん)」  

梅乃木 彬夫氏(ビデオ録画配信)  

  

17:40  

 

❖閉会挨拶 手島 博・研究会事務局長